喘鳴(ぜんめい)

喘鳴(ぜんめい)とは

喘鳴(ぜんめい)とは

狭窄した気道を呼吸で空気が通り抜けることによって生じる雑音のことを言います。
聴診器を使って聴かなくても聞こえる場合が多いので、「ヒューヒュー」、「ゼイゼイ」という音が聞こえたら気管支のどこかが何かしらの原因で狭くなっている状態である可能性があります。

  • 息を吸ったときに生じる喘鳴を吸気性喘鳴と言い、主に気管支の末梢の狭窄(下気道狭窄)で生じます。具体的には、気管支喘息・急性細気管支炎・慢性閉塞性肺疾患(たばこ病)・びまん性汎細気管支炎などの病気で生じることがあります。
  • 息を吐くときに生じる喘鳴を呼気性喘鳴と言い、主に上気道の根本の部分の狭窄(上気道狭窄)で生じます。

具体的には、クループ症候群・急性喉頭蓋炎・上気道異物などの病気で生じることがあります。

喘鳴(ぜんめい)の原因

気道が何らかの原因によって狭くなるときに生じるため、その原因により大きく2つに分けます。

①気管支がつまる

肺炎

気管支や肺の炎症にともなって生じる痰が気道内に貯留することによって空気の通り道が細くなるため生じます。

肺炎

異物(食物や義歯など)の誤嚥

嚥下機能の低下した高齢者の異物誤嚥や、幼少児のピーナッツや電池などの誤嚥などが当てはまります。
誤嚥した異物によってその周囲にも炎症が生じ分泌物が増えることでさらに空気の通り道が細くなることがあります。

癌性リンパ管症

肺にもリンパ管が豊富に存在しています。癌がリンパ管に転移することにより炎症がおこり痰の分泌が増えますが、吐き出すことが困難なためゼイゼイと音がします。進行した癌の患者様にみとめられることがあります。

喉頭や口腔内の病気による
気道の閉塞

喉頭がんや急性喉頭蓋炎、重症なアレルギー反応であるアナフィラキシーなど声帯周囲の病気の進行によって、息を吸うときも吐く時もゼイゼイと音がします。

②気管支が細くなる(気管支にアレルギー物質やタバコなどの刺激物質の影響)

気管支喘息

最も多い喘鳴の原因です。夜間や明け方の症状が多く日本人は多く経験する病気です。
気管支喘息のページを参照ください。

気管支喘息

心不全

心臓の疲弊により、肺に血液がうっ滞することにより肺の組織がむくみます(肺水腫)。結果として気管支の壁が分厚くなり、さらには気管支の中の分泌物も増え気道が狭くなります。
心不全の急性期には喘鳴はとても多く認められ喘息の喘鳴と似ていることから「心臓喘息」とも言われます。

胸水や気胸などの肺の外からの圧迫

肺は胸腔という空間の中で呼吸に伴い大きさが変化しておりますがその胸腔の中に空気や水がたまってしまうと、結果として肺そのものを圧迫してしまい気管支がおしつぶされることによってゼイゼイという音がします。

肺気腫(たばこ病)

肺の組織がたばこによって壊されるため息をはくときに気管支を保持できずその結果気管支が細くなります。
肺気腫が急性の発作を起こした際には気道の分泌物も増えぜーぜーが強くなることも多いです。

肺気腫

喘鳴(ぜんめい)の
診断・治療

喘鳴(ぜんめい)の診断・治療 CT検査まずは聴診器を使って聴診を行いどこに狭窄部位が生じているのか音の場所や性状を聞き分けて判断します。
患者様が横になると苦しくなるのかどうかも重要です。
喘息発作や心不全などではあおむけに寝た状態では呼吸苦が悪化するために自然と座っていることも多いです。
心不全であれば体中のむくみが見られることもあります。
呼吸の状態を把握したところで胸部レントゲン検査、胸部CT検査、血液検査(炎症反応や心臓の負担を調べる検査など)を行うことでより正確な診断を行うことができます。 
必要時酸素投与を行い原因により治療へとすすみます。喘鳴を起こす病気は上記の鑑別の通り比較的緊急性のあるものが多いです。状態悪化により人工呼吸など体に負担のかかる治療が必要になってしまうケースもあります。
ぜーぜー、ひゅーひゅーという症状を感じたら早めの医療機関受診をおすすめいたします。

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