舌下免疫療法

舌下免疫療法とは

舌下免疫療法とは舌下免疫療法とは、アレルギー状態にある身体をアレルギー反応がでない少量から徐々に暴露させるとアレルギー反応を起こしにくい状態になる免疫寛容という原理を利用した治療方法です。
特にスギ花粉症と喘息の原因となるダニアレルギーに対しての適応があります。
スギ花粉症を例にすると、季節がかわり大量のスギ花粉(抗原)にいきなり大量にさらされる(暴露される)と強いアレルギー症状である花粉症を発症してしまいます。そのため、アレルギーが出にくい少量から原因となるスギ花粉抗原を含んだエキスや錠剤を舌の下に置いてを持続的に摂取し続けると、やがて抗原に反応しなくなります。
その詳しいメカニズムとしては、舌下粘膜から吸収された抗原は樹状細胞に取り込まれ、制御性T細胞(T-reg)が誘導されて、アレルギー症状を引き起こす好塩基球や好酸球などの活性化を抑制します。T-regはまた炎症抑制性サイトカインのIL-10やTGF-β1の産生量を増加させ、B細胞のIgE産生を抑えてアレルギー症状を抑えると考えられています。
維持量に達したあとはその量の投与を長期維持する方法が用いられます。
投与方法は以前から用いられてきた皮下注射(皮下免疫療法)によるものと、最近使用可能になった舌下免疫療法があります。
アレルゲン免疫療法としては、皮下に抗原を注射して行う皮下免疫療法(SCIT:SubCutaneous Immuno Therapy)が古くから行われており、舌下免疫療法はそれを応用した比較的新しい方法です。皮下免疫療法と舌下免疫療法を比較すると、舌下免疫療法の方が通院による注射が不要なため実施が簡便であり、またアナフィラキシーショックの発生率も低いとされています。舌下免疫療法は皮下注射に比べて痛い注射が回避でき、かつショックなどの重篤な副作用の頻度がはるかに低いといった特徴があり、最近注目されている治療法です。

具体的な治療内容としては、最初は少ない量から始めて、1日1回の頻度で続けます。治療期間は短くても3年以上要しますが、治療開始から3か月くらいで効果が現れ始めます。4~5年続けていけば、7~8年くらいでアレルギーが軽減されます。
舌下免疫療法は、スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎に悩まれている方を対象とした方法で、その原因に対する免疫療法を行うことで症状を緩和させます。特にスギ花粉のアレルギーを持っている方は、早くて5月、遅くても12月のうちに治療を始めると、花粉が飛び始める時期に治療の効果が得られやすくなります。一方、ダニアレルギーの場合、推奨されている治療期間は特にありません。

当院の取り扱い種類・費用

スギ

  • シダキュア
  • シダトレン

ダニ

  •  ミティキュア
  費用(目安)
通院開始時 3,000~5,000円
通院2回目 1,500円
通院3回目 1,800~2,000円

舌下免疫療法の適応

治療に適している方、
受けられる方

  • 血液検査でダニやスギのアレルギーがあると判明された方
  • 医師の言うことに従いながら、継続して当院へ通える方
  • 毎日欠かさずに薬を服用できる方

治療を受けられない方

  • 5歳未満のお子さま
  • 65歳以上の高齢者
  • 妊娠中や授乳中の方
  • 免疫抑制薬を服用されている方
  • 重度の気管支喘息を発症している方
  • がんや免疫不全などにかかったことのある方

舌下免疫療法の
効果・副作用

期待できる効果

期待できる効果 舌下免疫療法は、スギ花粉・ダニアレルギーのある方に効く治療ですが、全員に効くわけではありません。治験の報告によりますと、10人中2人は完全に治り、6人は症状が良くなりましたが、2人は改善されませんでした。
また、すぐに効くものではなく、長い治療期間を必要とする治療法でもあります。
治療している間にアレルギー症状が出ることもありますが、諦めずに服用し続けることが重要です。舌下免疫療法はアレルギー症状を抑えるだけでなく、体質そのものを変える療法ですので、スギ花粉症・ダニアレルギーを根本的に改善させるのに期待できます。

副作用について

アレルゲンを身体に吸収させる方法ですので、稀にアナフィラキシーショックという重篤な副作用が起こることもあります。アナフィラキシーショックは、服用から30分以内に起こるため1回目の服用は、医師の指示の下で行います。服用後は30分程、院内で待機していただきます。

アナフィラキシーショックの
代表的な症状

  • 息苦しさ、呼吸困難
  • 蕁麻疹
  • 腹痛
  • 嘔吐
  • 口内炎
  • 意識混濁
  • 顔面蒼白

皮下免疫療法との違い

皮下免疫療法

  • 医療機関内で投与する
  • 治療を始めたばかりの段階では、何度も通院しなければならない
  • 注射するので痛みが起こる

舌下免疫療法

  • 注射しないので痛みが起こらない
  • 自宅内で服用できるので、何度も通院せずに済む

舌下免疫療法の方法れ

開始時期

スギ花粉症

舌下免疫療法は遅くても12月までに始めると、来年の飛散時期に効果が現れやすくなります。
スギ花粉の飛ぶ時期が終わりましたら、ヒノキ花粉のピークが過ぎる6月くらいからまた治療を始めることをお勧めします。

ダニアレルギー

時期を問わず、いつ治療を始めても問題ありません。治療を受け始めてから約3か月後に、効果が得られるかと思われます。

通院頻度

舌下免疫療法は長期間、コツコツ続ける必要があります。初めの2週間は1週間に1回の頻度で通院していただきますが、それ以降は2〜4週間に1回の頻度で、少なくても3年間通院していただきます。
治療期間中は、ご自宅内で毎日薬を服用していただきます。また、徐々にアレルギー体質を治していく方法ですので、長期間の治療期間が必要になりますが、効果は治療開始後から3ヵ月後に得られます。
症状が落ち着いたり消えたりした場合は、薬の量を少しずつ減らしていきます。

舌下免疫療法の流れ

1初診

初診問診ではアレルギーの症状をお聞きし、血液検査でダニアレルギー、スギアレルギーがないかを調べます。舌下免疫療法についての詳しい説明もここで行います。

22回目の受診

2回目の受診血液検査の結果を確認して、治療が適切だと判断された方のみに舌下免疫療法を行います。アナフィラキシーショックなどが起こらないかを見るため、初回の服用はアレルギー専門医の監視下で行います。投与後から30分のうちは院内で経過観察を行い、治療の継続に問題がないと判断できましたら、次の日からご自宅内で毎日、服用を行っていただきます。

3その後の受診頻度

治療開始してから3ヵ月のうちは副作用が起こりやすいため、初めの3か月間は2週間おきに通院していただきながら経過観察をします。それ以降は月に1回の頻度で通院しながら、経過観察をします。

注意

舌下免疫療法を受けた方の20〜30%は、効果を得られなかったと報告されています。しかし、多くの方には症状の改善が見られたとも言われています。
治療を始める前から効果の有無を確かめることはできませんが、何度か通院していただくことで、効果が出ているかをチェックしていきます。

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